空間を生業にしてから四半世紀が過ぎました。
住宅からオフィスへ提案の場は変わりましたが、お客様に寄り添う立場でいたい、という思いは変わりません。
先日、この業界で生きて行くきっかけを頂いた恩師より、お誘いの連絡を頂きました。
恩師がコーディネートをお手伝いした築50年のリフォーム邸宅見学会でした。
玄関に招いて頂いてから、見学終了まで驚きの連続でした。
新たに購入したものはたった二点のみ、というお宅は細部に至るまで工夫が凝らされ、見学をご一緒していた空間の専門家の方々から感嘆の声が上がりました。
もともと和室だったこの部屋は、お客様を招いたときに使う部屋で壁、柱を撤去し解放感あふれる洋室になっています。
国産老舗の家具メーカーマルニのソファが並んでいます。
ご両親の想い出の布張地を外面に残し、内側の皮革を張り替えています。
この皮革は、布にマッチしてとてもやわらかで繊細でした。
空間にとてもマッチしています。天井にも工夫が。
リビングも、思い出の家具達をリニューアルした設え。それらに合わせ、建具内装がコーディネートされています。
玄関にディスプレイされていたチェアは、広げると脚立です。椅子が脚立に !?
2Fバーコーナー
カウンターの高さや、季節ごとの風景を最大限楽しむ事を前提に、それを邪魔しないよう壁を撤去されています。
まだまだ、このお宅の工夫、素敵なところが沢山!それは又別の機会に紹介させて頂きたいと思います。
納戸には、家族旅行やお子様達の作品などが飾られ、そこでお茶を飲んだりもできるよう設えられています。
お子様たちの想い出も含め、家族の温かさ、絆の深さが要所要所に感じられます。
見学を終えた後、私はとても豊かな気持ちになりました。
空間を大切に扱う事、暮らしを大切にはぐくむ事、生きることを心から楽しむ事、それらは密接に繋がっているのだなあと実感しました。
空間を提案するという自分の仕事は、とても深いものなのだと改めて思いました。
お客様に30年寄り添っていると話してくれた恩師。お二人のやり取りがまた温かい。長い年月を掛けて蓄積された信頼、ときには子育ての相談などもあったそうな。
家族を大切に、情熱をもって空間を作り上げるお客様、その気持ちをしっかり受けとってアドバイスを差し上げる専門家。
住宅とオフィス、コーディネートの舞台は違うけれど、どちらも主役は人間と私は考えます。
そこで過ごす方々が少しでも快適になるよう、細部まで目が届くコーディネーターで、私もありたいと思いました。